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一式陸攻二四型丁(2) 

さて、ニ四型丁のキモであるところの桜花ですが、このキットに付属している物は前回の記事にも書きましたが、ハセガワが以前発売していた物そのものです。

この桜花は一式陸攻とセットだったり、単体での販売だったりとかなりの戦歴を誇るようで、僕が見たセットの物は、爆発炎上する敵艦を背景に上空を乱舞する一式陸攻(一一型)と桜花という血湧き肉躍る60年代戦記ブームなもので、一一型に桜花搭載能力はないだろ、とか、なんで母機まで突入してんだよ、とか突っ込みを入れるのも野暮に感じられるような、そんな元気の良過ぎる箱絵でした。

キットの出来についてですが、プロポーション自体は良く特徴を捉えてて問題ありません。ですがさすがに大昔の物なので細部はつらいものがあります。
コクピットはこりゃ野中五郎少佐も拒否るわなと思わせる簡素さで、操縦桿は太すぎるし座席や計器盤もかなり大ざっぱです。
パネルラインも結構豪快に省略されてるので、ただでさえ木金混合のパネルラインの少ない機体がよりのっぺりしてみえます。
いくら搭載状態だと下面くらいしか見えないからといっても新キットにそのまま搭載させるには抵抗ある出来です。
たしかに昔の物にしてはよく出来てる方だとは思うのですが、定番品として売るのなら桜花は新規に金型を起こして欲しかったところです。

72には手を入れないことにしているのですが、さすがに母機である陸攻とのディティールに釣り合いが取れないため、簡単に図面を見ながらスジボリを追加します。角の丸いハッチのモールドはプラペーパーでテンプレートを作ってケガいてやると楽に出来ます。
桜花スジボリ


スジボリ以外には機体吊下げフックの基部を追加してます。照準環が風防前に着くのでこれはファインのエッチングを後で追加しようと思います。後部胴体のエアダクトや母機との接続のゆれ止め基部は作り直した方が良いのですが、面倒なのでそのままです。
組み立て上、前方ゆれ止めを取り付ける穴を桜花に開けるよう指示がありますが、桜花単体で見た際の見た目が悪くなるため穴は開けません。キット自体も信管止めや尾部固定具、肝心の懸吊部が省略されているので実機と違いますし。今回は塗膜が心配ですが両面テープで母機にとめようと思います。


どうでもいい話ですが、この一式陸攻と桜花の懸吊方法、アニメ版「音速雷撃隊」でも実機と違っています。これは演出上の都合で、このアニメのメカデザインはカトキハジメ、つまり一式陸攻ニ四型丁と桜花一一型にはカトキアレンジが加えられたVer.kaが存在するといえます。

桜花の資料としてはモデルアート11月号臨時増刊「「秋水」と日本陸海軍ジェット、ロケット機」がまとまってて分かりやすいと思います。
桜花という機体は極論すれば人間誘導の空対艦ミサイルみたいなものですが、でもこの本にある自殺攻撃機という表記はどうも…。

戦争末期の航空軍備は、総特攻体制ともいうべきほど特攻兵器に傾いており、その中でも桜花は最後まで期待され続けた兵器です。爆装機より比較的高速なのと、ガソリンを使わないことが評価されていたのでしょう。
突入率の低さを補うため、母機を銀河や連山に変更することも検討されています。(銀河は試験済み。)ジェット化して航続距離(射程距離といった方が正しい気がする)を延長したニニ型を経て、最終的には地上からカタパルトを使って射出する四三型が本土決戦において主力になる予定でした。
桜花1


桜花は各型総計250機ほど生産されましたが、生産数のわりに日本軍機で現存する数の一番多い機体です。
小型機なので場所を取らないという点からも保存向きでしょうが、それ以上の意味を持って残されてるんでしょうね。

[ 2006/11/11 22:14 ] 一式陸攻二四型丁 | TB(0) | CM(0)

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